記録的な猛暑に襲われたアメリカ。路上生活をおくる男性は熱中症で倒れ、動けなくなった。高温のアスファルトでやけどをし、足を切断せざるをえなくなった。フロリダ州のある自治体で新しい試みが進めされている。熱波対策の責任者チート・ヒート・オフィサー(CHO)を設置した。ジェーン・ギルバートさんは環境問題に取り組むNPOを率いた経験から任命された。CHOは気候変動対策の戦略を策定した上で、民間を巻き込み具体的な対策を講じていくことが期待されている。ギルバートさんはまず、福祉部門と連携し地域ごとの暑さのリスクを可視化した。熱中症患者の住所から地域ごとの発生率を分析し、発生率が高い場所と低所得者層が多い地域が重なることがわかった。リスクが高い地域に早く効果的な対策をうつのもCHOの役目。ボランティアで低所得者に診療を行っている医師のNPOに暑さ対策の協力を求めた。患者の多くは移民で熱中症についての行政からの情報が十分に届いていなかった。CHOは行政の予算で身体を冷やすためのタオルや説明のためのパンフレットを提供。NPOはこれらを使って暑さ対策の周知を行っている。ギルバートさんが力を入れているのが、温暖化に強いまちづくり。二酸化炭素の削減と都市部の気温を下げるために緑地を地域の30%にまで広げる計画を立てている。さらに、緑地化するときの植物の種類にもこだわっている。特定のハーブやシダ類には空間を冷却する効果があるのだという。CHOは植林などを行うNPOに依頼し、冷却効果のある植林を使用する方針を決めた。この動きを支援しているアメリカの財団は都市から世界の気候変動対策を変えていきたいと考えている。