災害関連死は避難生活に伴う持病の悪化やストレスなどが原因とされる。遺族が市町村に申請すると、有識者らによる審査会が開かれ、そこで認定されると災害で直接亡くなった遺族と同じ支援が受けられるようになる。ところが、3年前に静岡県熱海市で起きた土石流災害では、認定まで予想外に時間がかかった遺族がいた。伊東真由美さんは災害で父親を亡くした。3年前の7月、静岡県熱海市で起きた大規模な土石流。この地域で暮らす91歳の父親は消防に救助されたが、自宅が警戒区域に指定され、ホテルで避難生活を送ることになった。ところが、およそ2か月後、父親は亡くなった。死亡診断書には次のように記されていた。「避難生活による生活環境の変化やストレスに伴う血圧の上昇により、脳出血を発症した」。災害関連死ではないかと考えた伊東さん。市に申請書類を送ってほしいと電話で伝えた。連絡はないことから1か月半後、直接、市役所を訪問。そこで思いもよらないことを言われた。審査会の必要性を認識していたという熱海市。弁護士や医師など審査会のメンバーの選定といった準備が進んでいないとして設置を定める条例が整備できていなかった。伊東さんからの働きかけもあり、土石流から半年たった翌年の1月、熱海市は条例で審査会の設置を定めた。その1か月後、伊東さんの父親は審査会で災害関連死に認定された。その後、熱海市以外の静岡県の市と町に審査会の設置状況を尋ねたという伊東さん。そこで知ったのは当時、複数の自治体が熱海市と同じように審査会を設置していない実態だった。同じような思いをする人を出したくない。三重県に暮らす伊東さん。県内の自治体に電話をかけ、審査会を設置するよう呼びかけている。
元日の能登半島地震を受け、意識が変わり始めた自治体は津市。南海トラフ巨大地震で甚大な被害が想定されている。それまで津市は公平な審議のためにも認定基準を設けたうえで近隣の自治体と足並みをそろえ、審査会を設置すべきだと考えていた。しかし、能登半島地震などを受け、審査会の設置について条例で整備する準備を進めている。なぜ進まないのか。一部の自治体の意識に問題があると指摘する専門家がいる。東日本大震災の際、岩手県山田町で審査会の委員を務めた在間文康弁護士。在間さんは災害関連死は起きないようにするのが第一としたうえで、市町村に対し早急に審査会を設置するよう求めている。
元日の能登半島地震を受け、意識が変わり始めた自治体は津市。南海トラフ巨大地震で甚大な被害が想定されている。それまで津市は公平な審議のためにも認定基準を設けたうえで近隣の自治体と足並みをそろえ、審査会を設置すべきだと考えていた。しかし、能登半島地震などを受け、審査会の設置について条例で整備する準備を進めている。なぜ進まないのか。一部の自治体の意識に問題があると指摘する専門家がいる。東日本大震災の際、岩手県山田町で審査会の委員を務めた在間文康弁護士。在間さんは災害関連死は起きないようにするのが第一としたうえで、市町村に対し早急に審査会を設置するよう求めている。