東京・品川区の五反田駅から2分ほどにある74年続く洋食店『グリルエフ』。内装は創業当時のまま。単品で人気の料理が「カニコロッケ(1600円)」。カリッとした衣にトロトロの具がたっぷり。長年常連さんの胃袋を掴んでいる「タンシチュー(2700円)」。牛タンはスッとナイフが入る柔らかさ。デミグラスソースと相性ぴったり。そして洋食店のすごい名物が「ハヤシライス(1450円)」。炒めた牛肉とタマネギに秘伝のデミグラスソースを絡めている。他にはない味が評判を呼びランチ客の約8割が注文する名物に。腕を振るうのがオーナーシェフの長谷川清さん。店は昭和25年創業。内装もハイカラだった。2代目の長谷川さんは18歳から先代のシェフのもとで修行。叩き込まれたハヤシライスの味を長年守り続けている。ハヤシライスは実は50年ほど前から常連客だけの裏メニューだった。その味が次第に口コミで広がり去年ついに表メニューになった。作り方を拝見させてもらった。牛肉と大量のタマネギを強火で炒めることでタマネギの水分を飛ばし甘みを引き出す。作り置きではなく注文ごとに調理。そして白ワインでフランベして香りを閉じ込める。味の決め手は黒いデミグラスソース。タマネギの甘みと黒いデミグラスソースが味に深みを出す。素揚げした野菜などを使う秘伝のソースは門外不出。長年継ぎ足してきた。長谷川さんと共に店を支えてきたのが相棒の川瀬裕信さん。そして2年前にコロナ禍の店を助けたいと2人の息子たちが入った。そんなたくましい息子に長谷川さんは「やはり親とすれば私も川瀬も嬉しかったと思います。息子たちがこの店を継げる体制にもっていくために頑張ってます」と話した。