ヨウラクランは花の大きさが1ミリ以下で「世界最小のらん」と言われ国内では宮城県以南に分布している。日本を代表する植物分類学者・牧野富太郎博士が最終的な分類を定義し学名には「Oberonia japonica(Maxim.)Makino」と博士の名前が付けられている。植物の受粉は風など自然によるものや虫などが媒介するケースがあるが、ヨウラクランについては具体的なことは分かっていなかった。牧野博士も長年所属した小石川植物園で研究を続ける東京大学大学院生・砂川勇太さんは去年5月、愛知県内の梅園で開花したヨウラクランを26時間以上連続して観察し夜8時から翌朝にかけて体長1ミリほどのタマバエが体に花粉の塊を付けるなどして受粉に関わっていることを初めて確認した。らんは世界全体で2万8000種が分布しているが、その9割近くは受粉がどのうように行われているか分かっておらず、他のらんの受粉方法の解明にもつながる可能性がある。