能登半島地震の発生から6月1日で5ヶ月。大きな被害に見舞われた石川県珠洲市では、今およそ1090戸で断水が続いている。そんな中で、珠洲市で唯一営業を続ける銭湯が「海浜あみだ湯」。毎日200人ほどの方が銭湯を利用しているが、そのうち家が断水したままや風呂場が使えないという人が合わせて9割に上る。運営しているのは新谷健太さん。移住して間もなくゲストハウスや飲食店など次々と事業を始めるが、集まるのは移住仲間ばかりで地域の人を巻き込めず道半ばで断念してきた。海浜あみだ湯は築35年、長年地域の地元の人たちの憩いの場所になってきた。しかし店主夫婦は高齢だった。廃業も考え誰か継いでくれる人がいないか探すうちに、顔見知りだった新谷さんに声をかけたという。そんな中、能登半島地震に襲われる。珠洲市は全域で断水したが、銭湯の建物に大きな被害はなく、水道の蛇口をひねると水が出た。新谷さんは避難所の寒さに耐え体を温めることもできない住民たちのために銭湯に住み込み再開することを決断した。地震から3週間後、銭湯が復活した。