2020年7月、球磨村で建築関係の仕事をしている上蔀さんは酩酊状態で帰宅した。寝ていると電話が鳴り、大雨で球磨川が氾濫して土砂災害が起きていると連絡を受けた。上蔀さんが住んでいた球磨村神瀬地区は球磨川とその支流に挟まれた地域で、川が氾濫すると他の町から孤立し地域ごと水没してしまう危険があった。15人が避難していた指定緊急避難場所の集会所は窪地にあり大量の水が迫っていたため、上蔀さんは集会所近くの自宅2階に避難者を誘導した。地域一帯は停電しており、真っ暗闇の中励まし合っていた。1階まで浸水し上蔀さんはパニックになるも、動揺させないよう避難者にはそのことを教えなかった。翌朝、自宅向かいの高台を見ると消防団の仲間がいたため、叫んでロープを求めた。消防団の川口さんが泳いでロープを自宅の窓まで届け、高台と自宅をロープで繋ぐことができた。上蔀さんのアイデアで近くの保育園にある子ども用プールを使い、避難者を高台まで運んだ。逃げ遅れて近所の屋根にいた住民たちも含め45人が救助された。
