イギリス連邦は旧植民地など56か国の連合体で、2年に1回の首脳会議が25日にサモアで開かれた。最終日の26日、全ての国が署名し採択された合意文書には「イギリスの奴隷貿易で被害を受けた国への賠償について協議を始めること」が盛り込まれた。イギリスは16世紀後半以降、約300万人を奴隷としてカリブ海諸国や南北アメリカの植民地に送り込み、タバコや綿花などを栽培させて産業革命を推し進める富を築いたとされているが、過酷な環境で多くの犠牲者が出た。そして近年、カリブ海諸国を中心に謝罪や賠償を求める声が高まっている。これについてイギリス連邦の首長を務めるチャールズ国王は「イギリス連邦の人々の話を聞き、過去の最も痛ましい面が反響し続けていることを理解している」と述べた。一方でスターマー首相は「ここでの(首脳会議)2日間で金銭の議論はなかった。その点についてわれわれの立場は非常に明確だ」と述べ、金銭による賠償以外の方法を模索する考えを示した。地元メディアは「債務の軽減や経済支援などの形をとる可能性もある」と伝えている。