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イギリスの水路網は整備によって大量の物資運搬が可能となった、その水路の一つであるポントカサステ水路橋は全長307m高さ38mあり、鉄板を組み合わせてつくられている。薄くても強度のある鉄板を使用することで軽量化に成功した。現在は観光船が行き来している。スイス・イタリアを走るレーティッシュ鉄道のアルブラ線とベルニナ線はおよそ100年前につくられた鉄道でアルプス越えをした鉄道。山にある橋は鉄でつくられているが景観を守るため石で覆われている。またアルプス超えの偉業を達成しただけではなく山岳リゾートという新たな文化を生んだ。
イギリスのフォース鉄道橋は長さおよそ2.5kmもあり別名鋼の恐竜。5万3000トンの鉄が使われており、最も高いところで海面から110mもあり多くの人や荷物が輸送されるようになった。スペインのビスカヤ橋は世界初の運搬橋、19世紀、鉄製品を運ぶ大型の貨物船が行き来しておりそうした船が通れるよう考えられた橋となっていて、当時の新たな技術として鉄のワイヤーロープが採用されている。
世界と鉄の出会いを示すものとしてエジプトのツタンカーメン王墓で墓の副葬品に鉄の短剣が見つかり、成分を研究すると隕鉄からつくられたことが確認された。太古の昔から隕石が地球に落ちており、人類と鉄が初めてであったのもこの隕鉄だったとされる。シャーク湾にあるストロマトライトは単細胞生物シアノバクテリアの集合体で光合成により大量の酸素を供給。酸素と海水の鉄分が結びつき酸化鉄となった。大量の酸化鉄が長い年月を経て海底に沈み陸地となり鉄鉱山ができる。製鉄を始めたのは3800年以上前からと言われている。スーダンにあるメロエの考古遺跡群には尖ったピラミッドがあり、その砂漠には製鉄所の名残がある。
18世紀後半からはじまった産業革命、19世紀にはパリに鉄の塔であるエッフェル塔が完成。手掛けたのは当時既に評価されていたギュスターヴ・エッフェルで鉄骨をレースのように組み合わせてつくった。実はエッフェルは他の建築物にも携わっていてアメリカの自由の女神像もその一つ。アメリカの独立100周年を祝ってフランスから贈られたもので表面は銅板製であるが内側はエッフェルが鉄橋の技術を応用し内部は鉄の骨組みで支えている。
鉄は地球の景観も変えている。ナミブ砂漠は風で運ばれながら砂に鉄分が付着し酸化。赤い酸化鉄となり赤い砂丘の景観が生まれた。ウルル・カタジュタ国立公園からはエアーズロックを見ることができ、朝日に照らされると赤い岩肌がより赤く見える。岩の赤さを生んだのは鉄で酸化鉄を含む砂岩で形成されている。
バルセロナにはユニークな建物が多くある。カタルーニャ音楽堂は鉄とガラスで造られた建物でこれまでの石造りとは異なり鉄骨を使うことで曲線を使った広いホールが出来た。さらにこれまでの箱型建物の概念を覆したのがオーストラリアのシドニー・オペラハウス。斬新なデザインが採用され、曲線ばかりの屋根を支えたのが鉄で長さの違う鉄骨が使用されている。
世界遺産の次回予告。
ベスコングルメの番組宣伝。