原発事故から1月あまり、酪農の休止を決めた飯舘村の長谷川健一さん。村に11軒あった酪農家は、それぞれが断腸の思いで牛を手放した。原発事故から5カ月、牛の処分が落ち着いた長谷川さん夫婦は年老いた両親を連れ、隣町にある仮設住宅に移り住んだ。2019年4月、長谷川さん夫婦は8年暮らした仮設住宅を出て村に戻った。放射性物質が降り注いだ畑は、表面の土を剥ぎ取る除染作業をしたうえで返された。そこで選んだのがそば作りだった。それから2年後、長谷川さんに甲状腺がんが見つかった。すぐに手術したものの病状は改善せず、2021年10月に帰らぬ人となった。
