農水大臣が会見で「新米が出回れば落ち着く」と言ってから半年。いまだ米の価格は高止まりのまま。政府は先週、ようやく保有する備蓄米の放出に向けて動き出した。今日公開されたのは、政府が管理する備蓄米の倉庫。約2万トンの米が備蓄されている。政府は備蓄米として毎年21万トンほど買い入れ、最大5年間保管。合計100万トンを目安に備蓄。倉庫では米自体の温度が15度以下に保たれていて、おいしさが損なわれないように低温で保管。備蓄米を管理する倉庫会社の社長によると、ネズミが入ってこないように対策。備蓄米はこれまで深刻な不作や災害時などに限って市場に放出されてきた。今も米の価格高騰が続く中で、政府は初めて流通の円滑化を目的とした備蓄米の放出に向けて動き出した。江藤農水相は今日「14日に公表を予定している。対象者・数量・方法について、その時(14日)に発表する」と発言。放出されるとスーパーなどに並ぶことになる備蓄米。数年たった古い米はどんな味がするのか。茨城・古河市にある米問屋では収穫から1年がたったものから10年以上が経過した“古米”を保管している。五十畑商店・五十畑秀俊さんは「10年たってもお米として問題なく食べられる」と話す。新米と“10年もの”“4年もの”古米の味をスタッフが食べ比べた。古米を炊く時はお酒を入れるとにおいが消えるという。東京・目黒区にある人気の寿司店「鮨 尚充」では新米と古米をブレンドしたシャリを使用。鮨 尚充・安田尚充代表は「古米は握りやすい。水分量が少ないので、口に入ったときにほぐれやすい。さっぱりするので魚の味が引き立つ」と話した。五十畑商店・五十畑秀俊さんによると「古米は水分が少ないので、リゾット・雑炊・チャーハンに良い」という。備蓄米が放出されれば、お米の価格は値下がりするのか。専門家によると、主な米の流通ルートは生産者から農協などが買い取り、卸売業者を通じてスーパーや飲食店などに渡る。最近は生産者から転売業者が買い取り、在庫を抱えるため、米の流通が滞っているという。農業の流通に詳しい松平尚也氏は「新米が下がらない理由は、利ざやを狙って投機的に買い占める業者がいる。米の流通量が増えると(高いうちに)売り出す業者が出る。備蓄米の放出が価格の安定につながると思う」と解説した。