春、新入生を迎えた東京大学駒場キャンパス。新入生の目に入ってくるたくさんの立て看。ほとんどがサークル活動の勧誘だが「東大生の5人に1人が卒業までに留年しちゃうんだって」など異色のものもある。作ったのは”東大立て看同好会”。立て看を作り、学内に掲示するために集まった同好会で、在校生のメンバーは15人、世の中に対する問題意識を自由でユニークな表現で訴えてきた。石垣島の絶滅危惧種カンムリワシを守ろうという立て看。温かみのある絵と色使いでメッセージを表現した。文字を使わずデザインでパレスチナの旗の色で平和を訴えた立て看も。同好会を率いるのは八十島士希さん。手軽にSNSでメッセージを伝えられる時代、みずからの手で主張を形にすることに八十島さんは意義を感じている。立て看を作る上で八十島さんたちが意識しているのが共感力。かつて学生運動の時代、立て看は過激で見る人を圧倒し、威圧するような文字が特徴だった。時代を経て、そのスタイルは一変。文字はやさしく、時にイラストも。新入生歓迎行事の日、8人の学生が立て看作りに初めて挑戦した。話し合って被災地にエールを送る立て看を作ることにした。はけが思うように動かず苦戦したが、少しずつコツをつかみはけに勢いが出てきた。新入生が思いを形にする初めての体験。その後、同好会には5人の新入生が加わった。今後は他の大学と連携して立て看文化を多くの大学に広げていきたいという。