子猿ヤマトと母猿ヤツデの物語の舞台は本州中部の白山で高さ約2700mあまりある。日本海を渡るシベリアの寒気を受けるため山麓には大量に雪が降る。サルの仲間は熱帯性の生き物で雪の中で生活するサルは世界にも類はいない。10kmに渡って切れ込んだ谷を蛇谷という。この谷を中心に500頭のサルが10の群れに分かれて生息している。石川県白山自然保護センターに務める水野さんは16年間サルを見守り続けた。去年の冬にサルたちに事件が起きたことから今年の冬も気がかりで山にでてきた。蛇谷の全てが雪に覆われ、秋のきのみが不作だったためにサルは体力をつけずに冬を迎え、多くのサルが力尽きた。カムリA郡は105頭いたが35頭が死んでいた。水野さんの調査によるとフジのつるには栄養分が多くサルも好んで食べている。ケヤキの木は枝ごと丸裸にしている。繊維質のため消化されず糞つなぎになる。この日は1頭も見つけることができなかった。カムリA郡は観察と研究のため夏の間だけエサが与えられている。