高額な医療費がかかった場合の負担を軽減する制度を巡る混乱。今夜、石破総理は高額療養費制度の負担上限額の引き上げを見送ることを発表。制度見直しを巡ってはこれが3度目の方針転換という異例の事態となった。当初は今年8月から段階的に患者の負担額を引き上げていく方針だったが1度目の方針転換は先月14日。長期的に治療を続ける患者の負担額は引き上げず据え置くことに変更。更に先週、2度目の方針転換を発表。今年8月に引き上げを行う一方で来年以降の引き上げについては再検討することに。そして今回、3度目の方針転換。今年8月からの高額療養費制度の見直し自体が見送られることになった。見送りを発表する1時間ほど前、引き上げ凍結を求める患者団体と面会していた石破総理。およそ20分間にわたった面会で話し合われた内容は全面凍結。患者団体の声を受け止め見送ることを決めた石破総理。高額療養費制度は医療費の自己負担額に上限を設け、超えた分は税金や保険料から支払われる仕組み。ただ、高齢化や高額な薬の普及などによりこの制度に使われる金額が年々増加。それに伴い現役世代の保険料の負担も増えていることが課題となっている。そのため自己負担額の上限を引き上げ現役世代の保険料の負担を減らそうとしていた。なぜ、二転三転し見送ることになったのか。1つ目は選挙を控えた自民党の参議院議員からこれでは選挙が戦えないと強い反発があったこと。2つ目は石破総理が情と理のはざまで心が揺れた点。石破総理は当初凍結に傾いていたとみられる。閣僚の1人は石破総理は優しいから患者側に寄り添った対応をしたいと思っていると話していた。それが先週になって社会保障費が増大する中で制度自体が持たなくなると持続可能性が低くなるなどの理由で予定どおりに行うことを決めたが、また今日になって一転凍結に傾いたという。来年度の予算案が衆議院を通過したあとになっての土壇場の変更。石破総理は高額療養費制度の見直しについて今年の秋までに改めて方針を検討し決定するとしている。