日本の電力政策の骨格となるエネルギー基本計画。2040年度の発電量全体に占める各電源の割合は、再生可能エネルギーは4割から5割程度、火力は3割から4割程度、原子力は2割程度になるとしている。昨年度の再生可能エネルギーの割合は22.9%で、政府として再生可能エネルギーを後押しする姿勢を一段と明確にした形。また、原子力発電の位置づけが大きく転換され、原子力を再生可能エネルギーとともに最大限活用していく方針が示された。東京電力福島第一原発の事故以降、一貫して盛り込まれてきた「可能なかぎり依存度を低減する」という文言は明記されなかった。AIの普及などを背景に、今後、電力需要が増えると見込まれる中、脱炭素と電力の安定供給の両立には、原子力の活用が欠かせないと判断した形。また今回の素案では、原発の建て替えに関しても、同じ原発の敷地内に限定せず、電力事業者が同じであれば、別の原発の敷地内でも建て替えを容認する方針が明記された。適用されるケースとしては、九州電力が、鹿児島県の川内原発で計画している3号機のケースが当てはまる。九州電力では、佐賀県の玄海原発の1号機と2号機が廃炉になっている。川内原発が立地する薩摩川内市・田中良二市長は「現時点では原案であり、今後も引き続き、国の動向を注視してまいりたい」とするコメントを出した。