東京電力は、福島第一原発の核燃料デブリの試験的な取り出しが完了したと発表した。事故から13年半で初めて。事故で溶け落ちた核燃料と周囲の構造物が混ざり合った核燃料デブリは非常に強い放射線を出し続けている。ことし9月から、2号機で試験的な取り出し作業が行われてきた。細いパイプ状の装置を原子炉格納容器の中に入れ、先月30日には5ミリほどのデブリをつかみ、その後、格納容器の外に出した。デブリは、きのうまでに運搬用の容器に収納されていた。そして、きょう午前11時40分、容器を専用のコンテナに移し、試験的取り出しが完了したという。事故から13年半を経て取り出された僅か数グラムのかけら。一方、1号機から3号機の格納容器の内部には、合わせておよそ880トンのデブリがあると推定されている。今回、採取したデブリは、1年程度かけて詳しい分析が行われる。硬さや粘りけが分かれば、本格的な取り出しに向けて、デブリを切ったり、砕いたりするのに必要な装置を検討できるという。ただ、デブリの取り出しは当初の計画からすでに3年遅れている。2030年代初めに本格的な取り出しを始める計画だが、現状では着手できる見通しは立っておらず、2051年までの廃炉完了という目標は不透明さを増している。