法令に問題はなかったが、景観が損なわれるということで住民から反発の声が上がっていた。解体決定までの経緯について、積水ハウスなどによるとマンションの事業計画を公表したのは2021年2月。当初11階36.09mの予定。しかし市民から反発する声が上がっていた。そこで翌年1月に行われた3回目の住民説明会で10階建て32.7mに変更したが、市民側はさらに低減を要望。これに対し市民の陳情書によると積水ハウス側は「応じられない」と答えたという。市民からの陳情を受け2022年7月に市長が積水ハウス側に対し建物のさらなる低減などを求める指導書を交付。これに対し積水ハウス側は高さを30.95mにする変更案を出したが、市民がさらなる低減を求める中、積水ハウスは去年1月に着工。契約書には今年7月に引き渡し予定だったが、今月3日に事業中止・解体を決定。その理由は、建物周辺の影響に関する検討が不十分であったとしている。不動産コンサルタントによると、引き渡し直前の解体は不動産業界で30年働いていて初めて聞くケースだという。解体に至るまでに、何度も高さの変更に応じたことは真摯な対応だったと話す。このタイミングだったことについて、最後まで社内で議論があったのではと推測され、訴訟や裁判になったり、会社の評判が悪くなるリスクを避けたいことが解体を決めた理由の1つになったのではという。今回全18戸と小規模で損失額が数十億~100億円弱とみられるということで、積水ハウスにとってはリスクを考えたときに解体を選ぶほうが影響が少ないと判断したのではという。