利休は身近にある竹を道具の材料に選んだ。柄杓師・黒田正玄の家は、竹の道具一切を託されてきた。道具作りは竹探しから始まる。竹の命は短く、成長が止まると12~3年で朽ち果てる。朽ちていくものに美しさを見出す技を黒田家は研ぎ澄ませてきた。厳選した竹を炭で炙り、朽ちる元となる水を抜く。表面に染み出す油を肌にまとわせることで、竹は数百年をかけてゆっくり老いていくようになる。虫食いやひび割れを起こさなかった2~3割だけを道具にする。初代の花入「帰雁」は、400年経った今も竹が美しく老いを重ねている。
© 2009-2025 WireAction, Inc. All Rights Reserved.