平和公園を訪れ、原爆慰霊碑に向かわれた天皇皇后両陛下は原爆で亡くなった34万人余りの死没者名簿を納めた慰霊碑で、広島市・松井一實市長からの説明に耳を傾けられた。終戦直前の1945年8月6日、広島に原子爆弾が投下された。昭和天皇は被爆の2年後に広島を訪問された。車から降りた昭和天皇は帽子を取って人々に挨拶。原爆ドームが遠くに見える場所に昭和天皇が立たれると、天皇陛下の地方巡幸など当時の誰もが思いもしなかったことに広島市民から自然発生的に万歳の声が上がった。原爆資料館では去年、日本被団協が受賞したノーベル平和賞の展示を視察し、被爆者の運動の歴史を聞かれた後、一瞬で消えた町並みを表現したホワイトパノラマの前へ。そして、90代の被爆者らと懇談された。被爆者は「被爆者に限らず、戦争についてかなり心を砕いてくださっている。ありがたいなと思う」、「時間をオーバーして資料館をご覧になり、私たちにも親しく話を聞いてもらい、被爆状況を感じておられると思う」と話した。両陛下は戦後80年にあたり令和の“慰霊の旅”を続けられている。4月には東京・小笠原村の硫黄島を訪問。今月4日~5日には長女・愛子さまと共に沖縄を訪問された。10年前、55歳の誕生日を迎えられた際の記者会見で、当時皇太子だった陛下は戦後70年にあたって平和への思いを「戦争を体験した世代から戦争を知らない世代に悲惨な体験や日本がたどった歴史が正しく伝えられていくことが大切であると考えています」と述べられていた。上皇ご夫妻から聞いた戦争の話を愛子さまにも折々に話をされてきたという。その思いは愛子さまの卒業文集に込められていた。