中国で開催された応氏杯。賞金額は世界最高峰。囲碁界のオリンピックとされる最高峰のタイトル戦。決勝戦に挑んだ一力遼九段、相手は中国の謝科九段。一力さんがこれまで勝ったことのない強敵。囲碁は打ち手の選択肢が多いとされる知的格闘技。碁盤に黒と白の碁石を交互に打ち、陣地を取り合う。相手の石を囲むと自分の陣地にすることができる。より広い陣地を確保した方が勝つゲーム。天文学的な打ち手のパターンがあり、AIでもそのすべては解析されていない。一力さんはAIが読み切れなかった一手を打ち、今回19年ぶりの世界一を勝ち取った。
かつて日本は決勝常連の囲碁大国だった。主要な世界大会での国別優勝数で中国や韓国が 躍進する一方で日本は2005年を最後に全く勝てなくなった。中国や韓国は囲碁をスポーツと位置づけて国をあげて棋士を育成する仕組みを作ってきた。一方で日本は伝統的な価値観の中で個人の努力をよしとしてきた。戦術面でも中国や韓国は合理性を追求、日本は次第に突き放されていった。その状況を打破しようと立ち上がったのが一力さん。ある改革を実現した。日本代表クラスの棋士たちが集まる研究会で若手もベテランも対局する場を新たに設けた。対局数のノルマを課し、メンバーの入れ替え制を導入、より切磋琢磨できるようにした。ベテラン棋士の中には若手に混じって研究することに意味が見いだせないと否定的な声もあったという。改革の効果は大きなものだった。プロ2年目の桑原二段のこの日の対局相手は一力さん。桑原さんのような若手棋士がタイトルホルダーの棋士と対局する機会はこれまでほとんどなかった。一力さんは格下相手でも力を緩めない。対局の後に必ず行う感想戦、ー力さんはこの時間こそが改革の要だと考えている。一力さんはその対局の勝ち筋だけでなく戦術まで伝えようとしている。ー力さんの改革の源流にはある先輩の存在があった。史上初七冠、国民栄誉賞を受賞した井山裕太九段。6年前に井山さんは若手を育てようと一力さんたちに声をかけ、研究グループを作った。その思いを引き継いだ一力さんが立ち上げた研究の場。この日の対戦相手はプロ6年目若手の福岡航太朗さん。AIを駆使し新しい研究をしてきた若手の発想には一力さんも学ぶことがあるという。3時間を超す熱戦ののち、勝利したのは福岡さんだった。
かつて日本は決勝常連の囲碁大国だった。主要な世界大会での国別優勝数で中国や韓国が 躍進する一方で日本は2005年を最後に全く勝てなくなった。中国や韓国は囲碁をスポーツと位置づけて国をあげて棋士を育成する仕組みを作ってきた。一方で日本は伝統的な価値観の中で個人の努力をよしとしてきた。戦術面でも中国や韓国は合理性を追求、日本は次第に突き放されていった。その状況を打破しようと立ち上がったのが一力さん。ある改革を実現した。日本代表クラスの棋士たちが集まる研究会で若手もベテランも対局する場を新たに設けた。対局数のノルマを課し、メンバーの入れ替え制を導入、より切磋琢磨できるようにした。ベテラン棋士の中には若手に混じって研究することに意味が見いだせないと否定的な声もあったという。改革の効果は大きなものだった。プロ2年目の桑原二段のこの日の対局相手は一力さん。桑原さんのような若手棋士がタイトルホルダーの棋士と対局する機会はこれまでほとんどなかった。一力さんは格下相手でも力を緩めない。対局の後に必ず行う感想戦、ー力さんはこの時間こそが改革の要だと考えている。一力さんはその対局の勝ち筋だけでなく戦術まで伝えようとしている。ー力さんの改革の源流にはある先輩の存在があった。史上初七冠、国民栄誉賞を受賞した井山裕太九段。6年前に井山さんは若手を育てようと一力さんたちに声をかけ、研究グループを作った。その思いを引き継いだ一力さんが立ち上げた研究の場。この日の対戦相手はプロ6年目若手の福岡航太朗さん。AIを駆使し新しい研究をしてきた若手の発想には一力さんも学ぶことがあるという。3時間を超す熱戦ののち、勝利したのは福岡さんだった。