大阪関西万博では分野の異なる8人のプロデューサーが、それぞれ「いのち」をテーマにパビリオンをつくることになっている。場所は大屋根リングの中につくられる。今回紹介するのは“ロボット工学の第一人者”として知られる大阪大学・石黒浩教授。石黒教授は、今回の万博でアンドロイドなど最先端の技術が生活空間に溶け込む様子を体験してもらうパビリオンをつくる。外観の完成を間近に控えた先月、石黒教授が初めて訪れた。地上2階建てで外壁は水が常に流れている構造。水は“いのちの起源”をあらわす重要なキーワードだという。石黒教授は、これまでさまざまなヒト型ロボット「アンドロイド」を開発してきた。自身にそっくりなアンドロイドや新一万円札に描かれた渋沢栄一のアンドロイドも。今回、万博での展示内容を一部を紹介してもらった。京都にある開発現場で出迎えてくれたのは、見た目が子どものようなアンドロイド。印象的なのは豊かな表情や細かい指先の動きもプログラムどおりに自動で動く仕組みで、人間らしい見た目や仕草が特徴。パビリオンでは、さらに改良を加え約20体のアンドロイドを学校や職場、病院など、さまざまなシーンに配置して、人間とアンドロイドが“ともに生きる未来空間”を体験してもらい、未来をどう作っていくのか考えてもらうねらい。体をひねって上半身を振り返らせる仕草は、今回初めて実現できた動作。全身に約60の可動箇所をつくり、それらの動きを組み合わせることで、より自然な動作が可能になっという。石黒教授は「万博開催のいちばんの大きな意義は未来について、みんなで考える。想像力を豊かにして自分たちで未来をつくっていくきっかけにするということ。みんなに喜んでもらえる驚いてもらえる、そんなパビリオンにしたい」と述べた。