デジタル空間に再現する双子、広がりを見せている。完成したある市役所。デジタル空間に再現。現実とうり二つ。双子のよう。この技術はデジタルツインと呼ばれる。シミュレーションが可能でさまざまな角度から見ることができる。さらにポイントを指定すれば距離や高さを簡単に測ることもできる。このデジタルツイン、災害対応や防災にも活用できると自治体で注目されている。和歌山県田辺市建築課の田上健太郎さん。田上さんは被災後の情報収集が困難を極めた13年前の紀伊半島豪雨を教訓にデジタルツインの技術を災害対策に生かそうと取り組んでいる。デジタルツインの生成過程を見せてもらった。建物周辺でドローンを飛ばすことおよそ5分。さまざまな角度からおよそ50枚の画像を撮影した。撮影したデータを組み合わせコンピューターが解析。数時間後、建物やその周辺がデジタル空間に再現された。このデジタルツインをどのように活用するのか。ことし7月、田辺市内で発生した土砂崩れ現場のデジタルツイン。これまで被災直後に立ち入ることすらできなかった場所もドローンを飛ばすだけで本物そっくりのデジタルツインを生成。被害の実態を素早く把握し、復旧に向けて動きだすことができる。さらに想定される災害を見える化。事前の備え、防災にも活用することができる。近い将来起きることが懸念される南海トラフ地震。田辺市には最大12メートルの津波が押し寄せると想定されている。市中心部のデジタルツインに被害想定のデータを入力。どれぐらいの高さまで水につかるか、手に取るように分かる。平面図に描かれたハザードマップ。それをもとにまるで被災したかのように被害を見える化。備えを促す。防災に災害が起きた際の被害の把握、その両面での活用が期待できるデジタルツイン。田辺市は11台のドローンを稼働させ、その取り組みを進めている。