政府は脱炭素社会の実現やエネルギーの安定供給に向けて原発を最大限活用する方針だが、再稼働には新しい規制基準に対応するための追加の安全対策が必要となる。その費用は新たに建設する場合と同程度の7000億円ほどになるケースもあり、確実に回収できるか電力会社の課題になっている。そこで経済産業省は、脱炭素電源への投資を促す支援制度の対象に、原発の安全対策にかかる費用も加えるようガイドラインを改正した。脱炭素電源への投資を促す支援制度は再生可能エネルギーの発電所を新設したり、火力発電所などで二酸化炭素の排出を減らす改修を行ったりする際に、電気の小売事業者の負担で費用に応じた固定収入が原則20年間保証されるようにするというもの。ガイドラインの改正で今後は再稼働していない原発の安全対策にかかる費用もこの制度の対象になり、利用されれば、原発を運転する電力会社以外の電気の小売事業者も費用の一部を負担することになる。