北海道大学病院附属司法精神医療センターは4年前に発足。勤務しているのは医師や看護師に加え、精神保健福祉士や心理士など6職種のエキスパートたち。現在、統合失調症などの精神疾患のある19人の入院患者に治療を行っている。精神科の医師でセンター長を務める賀古勇輝さん。ここでは一般的に行われる精神面の治療に加え、加害行為の再発を予防するプログラムを整えている。治療の流れは急性期、回復期、社会復帰期の3つに分かれる。急性期は激しい幻覚や妄想などの症状を改善する。回復期ではコミュニケーションの取り方や物事の考え方などを養う。その一つがメタ認知トレーニング。統合失調症などでは物事の認知が偏る傾向があり、加害に結びつくケースもある。別の見方を意識させるなど認知の偏りを修正する訓練を重ねる。さらに手先を動かすことで認知機能を活性化させるプログラムも。複雑な形のものを根気強く自分の手で作り上げることで自己肯定感が高まる効果もある。社会復帰期では社会で生活するうえで必要なスキルを身につける。掃除や外出しての買い物、料理など実際の生活を体験する。約10年前に傷害事件を起こした60代のAさんは都内の医療機関で約3年の間一連の治療を受け、社会復帰を果たした。Aさんは今も定期的に通院を続けているものの、少しずつ1人での暮らしに自信がついてきている。賀古さんは患者の状態に応じたきめ細やかなケアを行うことが再発防止につながると考えている。
