コツいらずで切れる寺崎さんの握り鋏、その秘密の1つが刃先に日本刀と同じ鋼を使用していること。そして、持ち手の「コシ」。バネの強度で切れ味の良し悪しが決まるという。用途に合わせ、バネの力を調整するのは難しく鋏鍛冶職人の経験と感覚が試される作業。幾度も叩き鉄を薄く伸ばし、和裁用に適したコシを作り出していく。叩き続けること10分、コシを作った握り鋏に研磨をかけ、180℃の油に40分浸す。これによってコシの耐久性が高まるのだという。最後は、コシを曲げU字型に生成する。刃先は根本が少し重なるのが理想、バネが正しく作れていなければ全て台なしになる。刃の重なりは完璧だった。こうして完成したのが、250年の歴史がある伝統の握り鋏。総火作りによって生み出されたコシのバネは長年の使用でも衰えず、50年以上切れ味は変わらないという。寺崎さんからは、先程作った握り鋏をプレゼントしてもらった。使わず保管しておくと話すアルバさんに、鋏のためにも沢山使ってほしいと寺崎さんは話した。
