今月4日、非常戒厳を宣言した韓国・ユンソンニョル大統領。ユン大統領の弾劾を求める議案を野党6党が提出し、国会できのう午後5時過ぎから議案の採決を行うための本会議が開かれた。議案の可決には、与党「国民の力」から少なくとも8人の賛成が必要なことから、与党議員の動きが焦点となっていた。しかし、議案の採決を前に、与党のほとんどの議員が退出。韓国国会・ウウォンシク議長は、与党議員たちに「世界中の人たちが見守っている、戻ってきて投票してほしい」と呼びかけた。本会議が開かれてから4時間となる“午後9時20分まで待つ”としていたが、与党のほとんどの議員は投票に参加しなかった。そして昨夜9時半ごろ、投票に参加した国会議員が200人に達しなかったことから、議案は廃案となり、ユン大統領は職務を継続することになった。しかし、与党「国民の力」・ハンドンフン代表は昨夜、記者団に対して「ユン大統領は、退陣まで事実上、職務から排除される」とコメント。最大野党「共に民主党」は強く反発していて、大統領の退陣を求める立場を強調した。その上で、ユン大統領の弾劾を求める議案を、今月11日にも再び国会に提出する方針を明らかにした。今月14日に採決を行うとしている。きのう、国会前に集まった市民は、警察の推計で一時15万人余。大統領の退陣を求める声が夜まで続いた。韓国の通信社・連合ニュースは、ユンソンニョル大統領に、非常戒厳の宣言を進言したと伝えられたキムヨンヒョン前国防相がきょう未明、警察に出頭したと報じた。キム前国防相は、野党側から内乱を企んだ疑いで告発されていて、捜査に積極的に協力するために出頭したとしている。日本政府は、今後も混乱が続く可能性があるとして、引き続き情勢を注視していくことにしている。その上で、地域の安全保障環境が厳しさを増す中、日韓関係や米国を含む3か国の関係を強化する重要性は変わらないとして、あす、3か国の高官で北朝鮮への対応を巡る協議を行うなど、引き続き連携を確認していく方針。