鈴木義孝さんは長いものでは年単位の歳月をかけて仏像を作ったり修復したりする職人である仏師。国内有数の本格的な仏像作りを学べる身延山大学で彫刻技術などの基礎を身に着けた鈴木さんは、卒業後仏師としての経験を積み、手掛けた仏像は100以上に上る。ラオスの仏像を修復する身延山大学のプロジェクトなどにも携わってきた。去年1月に石川県能登半島を襲った巨大地震で現地の寺も倒壊するなど大きな被害を受けた。鈴木さんたちに仏像の修復依頼があり、去年の暮れに石川県に向かった鈴木さんは5カ所の寺を回り30近い仏像を預かった。鈴木さんは、まだ仏像の修復どころではなかったが、瓦礫の中から仏像をかき集めたときに住職が泣いていらっしゃって、喜ぶ人がいるから来てよかったと思ったと話した。河崎俊宏住職は自身が住職を務める石川県の2つの寺も被災したが仏像を修復してもらえると知り救われたと語った。修復作業は今年4月に身延山大学で開始された。乾燥させたパーツを仮組みし仏像の全体像をイメージすると新たに木材から足りない部分を削り出す木取りという作業を行って形を取り戻す。塗り直しが必要な仏像は古い下地を剥がして表面を整える。依頼者の要望を大事にすることも鈴木さんのこだわり。鈴木さんは、被災者の方々の思いを忘れることなく私なりに修復に込めてやっていけたらと話した。