TOPPANホールディングス、売上高を見ると印刷事業は情報コミュニケーションの中の30%程度、約2600億円で事業全体の6分の1ほどしかない。3年後に1兆8000億円を目指すがどのような事業を柱に経営目標を突破しようとしているのか、CFOに聞く。黒部隆CFOはアメリカの子会社でCFOを務め2018年に取締役に就任した。新体制になり社内の雰囲気はやる気が満ちいていると思うとのこと。TOPPANホールディングスでは印刷のほか、ICカードやパッケージ、建設資材、半導体関連など幅広く事業を展開、印刷で培ったグラフィック技術を活かしデジタル事業も強化している。中期経営計画では2026年3月期に売上1割アップ、営業利益4割アップと利益率を重視している。鍵となるのは海外事業で現在売上は国内3分の2、海外3分の1だが、3年後には利益の半分を海外で稼ぐ計画。海外で引き合いが強い製品は「GLフィルム」で世界最高品質・最高のバリア性能を誇るフィルムで、パッケージの中にフィルムを使うと品質を保持することができる。EUでは2030年までにすべての包装・梱包材の完全リサイクルが義務付けられ、このフィルムはリサイクルのしやすさが指示され取引量が大きく増える見込み。そのため2024年稼働にむけチェコ工場を建設中。海外では売上の拡大だけではなく、投資家の増加も狙っているが海外投資家が懸念しているのは政策保有株を多く抱えていること。黒田CFOは「グラス・ルイスとISSの基準に日本の投資家も同じ投票行動をとる」とし「新聞記事の内容を説明して納得してもらう」などと話した。政策保有株の評価額は4575億円で純資産の30%ほどをしめている。中期経営計画ではこの割合を15%未満まで減らすことを目標にしている。黒田CFOは「ベンチャーと老舗のいいところを持っている会社、ベンチャーなので資金を止めるとチャレンジができない。両方のバランスをとるのは大変難しい。私は黒部ダムとよく言われる。せき止めるだけでは厳しい、放流して電気をつくらないと役にたたない」などと話した。またROEを2026年3月期に5%としている。モーサテプレミアムではロングインタビューを配信中。