2020年7月4日、前日から降り続いた雨は線状降水帯の発生により非常に激しい雨となり、熊本県・球磨地方などに大雨を降らせた。この大雨で熊本県内を流れる球磨川が氾濫し、県内では65人が亡くなった。JR肥薩線でも鉄橋や線路が流されるなど大きな被害にあい、一部区間では今も運休が続いている。球磨川が氾濫した人吉市では、雨は7月3日の早朝から降りはじめた。大雨警報が発表され、当時の避難勧告も出ていた。その後、線状降水帯が発生した。4日の午前4時には球磨川が氾濫危険水位を越えたため、市内の全域に当時の避難勧告が発表。午前4時50分には警戒レベル5「大雨特別警報」も発表。午前5時15分には避難指示、午前5時55分には球磨川の氾濫が確認された。球磨川の災害復興に取り組む民間団体が集めた本には、クラクションを鳴らしながら避難している様子が綴られていた。その方はその後、山間部にある実家にいた母親を連れ、高台のビジネスホテルへ避難できたという。気象庁気象研究所によると、線状降水帯はこれまで約7割が夜~朝にかけて発生しているということが分かった。この熊本豪雨のときも夜~未明の暗い時間に発生しており、明け方にかけて特に災害の危険度が高まっていた。このときは防災無線の音も「大雨で聞き取れなかった」という声が多く寄せられたという。そのため人吉市では現在、屋外のスピーカーによる防災無線の呼びかけだけではなく、個別に受信機を配布、防災ポータルサイトの立ち上げなど情報伝達手段の多重化にも取り組んでいる。