新しい認知症観。認知症になっても個性や能力を発揮するなどして希望を持って生きられるという考え方。今月、政府が閣議決定した認知症基本計画に示されている。しかし現実には認知症になったら働けなくなったという人が相次いでいる。希望すれば働き続けられる社会をどう実現していけばいいのだろうか。都内に住む藤島岳彦さん59歳。メーカーや商社などで営業の仕事を30年以上続けてきたが、2年ほど前から仕事中のミスが出始めた。その後、病院で検査し、アルツハイマー型の認知症と診断された。それを会社に伝えたところ、「雇い続けられない」と言われた。藤島さんのように64歳以下の若年性認知症の人は全国で3万6000人に上ると推計されている。しかし発症時に働いていた人のうち67%が退職しているというデータもある。どうすれば働き続けることができるのか。取材を進めると、本人と会社の間に入る第三者の支援が重要であることが見えてきた。