王谷晶の英国推理作家協会賞で、日本人作家の王谷晶さんの「ババヤガの夜」が、ダガー賞を受賞した。今回の受賞を機に、出版社は異例の26万部の重版を決め、累計発行部数は電子版も含め、32万部だという。英国推理作家協会は「まるで漫画のように日本のヤクザを描いたこの作品は、登場人物たちの深い人間性を際立たせるために、容赦のない暴力描写に満ちている。無駄のない展開で、独創的かつ奇妙ではあるものの、見事なラブストーリーを紡ぎ出している」などと評している。王谷さんは「ちょっと意地が悪いかもしれませんが、男性と女性の組み合わせで物語を書いたら、『何故男性と女性のコンビを出したんですか』とあまり聞かれないと思う。でも、同性の組み合わせだと目新しい。私の中では、女性の組み合わせやコンビ、恋愛でもそうでないものでもすごくナチュラルなもので、まず最初に頭の中に浮かんでくる。だから書いたという感じ」などと話している。「ババヤガの夜」は今後もブラジルなどでの翻訳が決まっており、海外では日本の女性作家の作品が高く評価されている。翻訳家・文芸評論家の鴻巣友季子さんは「日本文学がすごく欧米で人気があると言われていますけれども、女性の生き方であったりいわゆる男性優位社会の中で、どういう風に抑圧と闘ったり立ち向かったりしていくか。ババヤガの夜は自然に女同士が惹かれ合って、困難に立ち向かっていく。根幹の部分にある愛情や信頼などは普遍的なものだと思わせてくれる作品」などと話した。