日本語の歴史や文献に詳しい山口謠司・平成国際大学学術顧問(専門は日本語の歴史や文献学、書誌学)が、「名前の読み方」について3分授業。今年5月、これまで漢字表記だけだった戸籍に、新しくフリガナが記載されることになる。さらに“キラキラネーム”など名前が多様化する中で、記載が認められる名前について法務省は指針を発表した。例えば「太郎」と書いて「ジョージ」と読むのはNG、「高」と書いて「ヒクシ」と読むのもNG。ただ、「桜良」と書いて「サラ」と読んだり、「彩夢」と書いて「ユメ」と読むのはOKで、漢字に関連性があるものは認められる。このような“キラキラネーム”は奈良時代からあった。例えば鎌倉時代の「徒然草」の作者・吉田兼好は「人の名も 目なれぬ文字を付かんする 益なき事なり」と言っていた。これは現代語に訳すと「人の名前も見慣れないような珍しい漢字を付けるのがはやっている。つまらないことだ」となる。過去の人物にも“キラキラネーム”を付けた人がいた。例えば織田信長の長男「奇妙丸(きみょうまる)」で、元服して「信忠(のぶただ)」となり家督を継いだ。他にも奈良時代に活躍した「藤原不比等(ふひと)」で、藤原氏の繁栄の祖となった。人と違う名前を付けたがるのは、親の大切な気持ちが込められている一面もある。しかし、自分の子供が大人になってから名前をそのまま使っていくということを考えて、親は名前をつけた方がいいのかもしれない。山口謠司先生の「謠」の漢字は旧字体だが、読めない人もいるのでフリガナが付くのは、ありがたい事。