大阪市西成区の「八條工房」で40年以上、手描きの映画看板を描き続けている映画看板絵師・八条祥治さんは「ワクワクする、印刷物と全然違う」と話す。そんな手描きの映画看板を掲げているのは新世界にある「新世界国際劇場」だけ。大阪の賑やかな街にはインパクトのある手描きの看板が合っている。そんな館長の意向で今でも八条さんに依頼しているという。かつて映画看板は手描きが当たり前だったが、現在では印刷技術の進歩などにより衰退。八条さんは映画看板制作所に勤めていた父の独立を手伝うためにこの世界に入ったという。父には「弱い絵にならないように」とよく言われていて、絵の師匠だった父は自分らしく看板を描く大切さを教えてくれたとのこと。しかし17年前に父が他界。手描き看板の仕事が減っていた中での出来事だった。八条さんは「父親が一生懸命、好きな仕事としてやっていた生業の映画看板の仕事を残したいから、匙を投げて他の仕事という考えはなかった」などと話した。