認知症の高齢者は来年2025年には471万6000人となり、さらに団塊ジュニアの世代が65歳以上になる2040年には584万2000人に上ると推計されている。これは高齢者の6.7人に1人にあたる。ただ、認知症になると本人や家族がその事実をすぐには受け入れられず、どう向き合っていけばいいのかわからないという人は少なくない。こうした中、40年以上認知症の診療に当たっている繁田雅弘医師による講演会が東京・新宿区で開かれ、認知症の人の家族など約250人が集まった。繁田医師は“認知症になっても幸せそうに生活する人とそうではない人の違い”について「家族や周囲が認知症の人とどのように向き合うか、それが幸せかどうかを左右しているように思う」と指摘した。そして「認知症になったら何もできなくなるという古い見方は捨てるべきだ。認知症という病気でひとくくりにするのではなく、その人の症状や行動そのものに目を向けていく必要がある」と訴え、「認知症の人の行動には本人の考えがあり、それを周りが理解していくことで、本人を傷つけることもなくなり、違った見え方も出てくる」と話した。