この日診察にやってきた松田さん、3年ほど前から物忘れに悩まされて支えがないと歩くことができない。松田さんの認知機能を調べる検査は、今年の1月9日に行われた。認知機能の低下の症状は、ハキム病が原因だと医師が判断した。ハキム病とは、頭に脳脊髄液がたまる病気だという。主な症状は、歩行障害・認知障害・排尿障害。認知症が疑われるとき、その原因として最も多いのはアルツハイマー型認知症で、ハキム病は数%といわれているが実態は掴めていない。ハキム病と診断された場合、水を抜く手術をすることで認知症の改善が期待できるという。ハキム病という病気は、医師の中ですらあまり知られていない。3年前にハキム病とと診断された上野さん。当時は家族が話しかけてもほとんど反応せず、歩くことも困難だったそう。上野さんの家族はハキム病の存在を知らなかったという。発覚したきっかけは、転んで頭を打ったときに受けた検査だった。それによって頭に髄液がたまっていたことがわかったのだ。約2年前に手術を受けた上野さん、今では家の中では杖なしで歩けるようになり、ラジオ体操ができるようになるまで回復した。専門医がいなくてもハキム病をみつけることができないか、いまそのためのある取り組みが進められている。訪ねたのは、ハキム病専門科の山田医師。ハキム病の診断をスマホアプリを使って行うという。AIでハキム病患者者の歩き方を解析する。診断のサポートするアプリは他にも研究されている。現場でもこの試みははじまっている。今年1月に検査を受けた松田さん。その後1月末に手術をし、番組は4月に松田さん宅を訪ねた。手術前の検査と同じ質問をしてみると、正確な回答が返ってきた。会話だけではなく、歩き方も徐々に改善しているとのこと。