今年は団塊世代の人たちが75歳以上になり、5人に一人が後期高齢者になるとされている。証券業界で課題になっているのが、株を保有する人が認知症になった場合の対応である。証券会社では顧客が認知症と診断された場合は口座を凍結する対応をとっている。口座の凍結後は現金が必要なときに資産を取り崩すことができなくなる。そこから新しい制度で家族サポート証券口座制度ができた。本人にかわり、公正証書をつくったうえで家族代理人が口座の管理や運用方法などの取引ができる。既存の制度として、法定後見制度とは認知症と診断されたら裁判所が後見人を専任する制度。そして予約型代理人制度は認知症診断前にあらかじめ代理人となる家族を証券会社に届けておく制度になる。法定後見制度は金融資産だけでは鳴く不動産なども対象になるが、裁判所への手続きには一定の時間がかかる。予約型代理人制度は金融資産のみが対象で、ともに取引は売却、解約が中心になる。一方家族サポート証券口座は対象は金融資産で、認知能力の低下前に代理人を選ぶことができる。取引は売却、解約に加え資産の入れ替え目的なら買付も可能。新たな制度では本人と家族間が事前に決めた通りの運用になっているか証券会社がチェックを行う。制度を導入するかどうかは各証券会社の判断となる。夏から一部の証券会社では導入をする予定。