闇バイトによる犯罪は、指示役を検挙して実態解明につなげることや、次の犯行をいかに防ぐかが課題。政府は緊急の対策を決定し、その柱としたのが「仮装身分捜査」の早期の実施。警察庁が、「雇われたふり作戦」と名付けた捜査手法。SNS上の闇バイトに捜査員が架空の人物の運転免許証などを使って応募し、犯行グループに接触する。実はこれまでも捜査員であることを隠して闇バイトに応募する捜査は行われていたが、本人証明書の提示を求められることが多く検挙につながるケースはほとんどなかったという。運転免許証などの偽造は公文書偽造などの罪に問われるおそれがあるが、刑法には法令または正当な業務による行為は罰しないと規定されている。今回警察庁は、現在の法律の範囲内で対応が可能ではないかとして、闇バイトによる犯罪の捜査に限った運用にするなどして来年にも実施したい考え。似たような捜査手法では、現在薬物や銃器の取り引きに関する捜査でのみ行われている「おとり捜査」もあるが、本人証明書を偽造して提示することまでは行っていない。またおとり捜査では、例えば薬物の売買を働きかけて売人などが犯罪行為を行った段階で摘発するが、仮装身分捜査で目指すのは指示役との接触などで、犯罪行為を働きかけるわけではないとしている。専門家は、仮装身分捜査について一定の抑止力が期待できると理解を示す一方で、闇バイトの捜査に限定している適用範囲がなし崩し的に広がるおそれなど、課題は多いと指摘している。