山梨県早川町に町で初めてのコンビニがオープン。食品・日用品など1000点以上が並ぶ。実は町がつくった公営のコンビニ。店舗は直売所を改装し、店員は外郭団体の職員が務める。町長の深沢さんは住民の高齢化で買い物弱者の課題が増す中、生活を支える商店をつくりたいと約200万円の予算を投じて実現した。こうした動きの背景にあるのは将来の財政不安。ダムや発電所の建設工事などで栄えた早川町。昭和30年代には約1万人が暮らしていたが、その後の60年で800人ほどに減少。町長になる前は役場の職員を務めてきた深沢さん。町が潤えば人口が増えると数億円をかけた数々の観光施設の建設にも関わってきた。こうした施設の維持費や補助金などは町の予算の1割を占める年間約3億円に上る。将来、町の財政をさらに圧迫し、町民の生活に影響を及ぼしかねないと危機感を抱いている。住民サービスの質を維持するためにどのように賢く縮んでいけばいいのか。町で始めたのがお金の使い道の抜本的な見直し。プロジェクトチームを立ち上げ、約50事業を対象に必要性や妥当性を検証。この日は町が約660万円の補助金を出して開催する観光関連のイベントを継続するか意見が交わされた。町はすでに老朽化した温泉施設について休業を決め、関連する経費の約900万円を予算から削減した。一方で町の決定に住民から「確かにボイラーも配管も古いから無理ないと思うがショック」と戸惑いの声も上がっている。それでも町民の理解を得られるよう対話を重ねながら見直した予算で生活に欠かせない水道や病院の維持に繋げていきたいと考えている。深沢さんは「町にとって本当に必要なのか、お金をかけてでも町民が満足して事業を維持していくべきか、そこの見極めはきっちりしないと」と話した。
