アメリカのトランプ大統領は今週、日本からの輸入品に対し、25%の相互関税を8月1日から課すと書簡で通知した。関税交渉のネックになっているのは、自動車関税。トランプ関税以前の関税率は2.5%だった。トランプ関税で、25%上乗せされ、27.5%となっている。財務省の貿易統計によると、アメリカへの自動車輸出単価は前年同月比で21.7%減少している。日本の自動車各社が輸出する自動車の価格を自ら抑えることで、追加関税によるコスト増を本国で被ろうとしている。アメリカにある子会社などで損失回避に動いているとみられる。アメリカの販売子会社でコストを負担して赤字になると、アメリカの内国歳入庁は、日本の親会社に利益を付け替えているとして、アメリカ法人の赤字を認めず、課税する。メーカーにとっては、日米双方に課税される「二重課税」が懸念される。1985年のプラザ合意後、円高が進んだが、日本車メーカーはアメリカでの価格改定に慎重で、損失をアメリカ子会社に計上しようとした。内国歳入庁は、「日本の親会社に利益を付け替えている」として課税した。プラザ合意後、二重課税解消のために、国税庁と自治体はアメリカでの損失分を還付するなどしてきたが、税収が減った分、自治体ではインフラ整備の予算執行などに影響が出た。中山は、課税による損失リスクも考慮しつつ、対策を練っておく必要がある、アメリカ以外にも、東南アジアや中国でも、自国企業の赤字を許さない事例が出てきている、供給網全般を見渡し、損失の可能性や課税との複雑な関係を地球儀的に管理する経営「タックスプランニング」に日本企業は慣れておらず、グローバル企業としての課題が残っているのではないかなどと話した。