東京・狛江市の住宅街にたたずむ一軒家。ここでは誰もが自由に時間を過ごしている。0歳の赤ちゃんから100歳のおじいさんまで。彼らをつなぐのは「縁側」。自宅でも学校や職場でもないもう1つの居場所で緩やかにつながる人々の一日を見つめた。東京・狛江市の閑静な住宅街の一角にある築50年の一軒家「野川のえんがわ こまち」。この場所の出入り口は縁側。誰もが気軽に立ち寄ることができる。平日の午前、最初にやって来たのは小学5年生のはるひ君。2年前から学校にあまり行けていない、はるひ君はこの日、1時間登校したあと、こまちにやって来た。ここでは自分のペースで過ごしている。その後も次々と集まってくるのは学校に行っていない子どもたち。くうや君とさくたろう君、小学6年生の2人はここで知り合い仲よくなった。この場所を4年前に作った梶川朋さんも中学生の頃に学校へ行けなくなった時期があったという。最もにぎやかになるのはランチの時間。お年寄りや子どもを連れた母親たちもやって来た。ボランティアで料理を手伝っているのは1人暮らしの男性。この手伝いは定年退職後の生活を考えてのことなんだとか。和室でちゃぶ台を囲むのはお母さんたちのグループ。午後、おもちゃで遊び始める子どもたち。みんなで見守るこの時間は子育ての中で息をつけるひとときだ。夕方になると学校を終えた子どもたちもやって来る。学校に行っていない子と学校帰りの子が一緒に遊び始める。そして大人もその輪に加わる。高校生の話し相手になっている女性は体調を崩して看護師の仕事を辞めざるをえなかった。自宅でも職場でもないここでの時間が生活の一部になっていると感じている。一日の終わり、この場所に救われたという女性がやって来た。4年前、長男と次男がそろって不登校になった際にもう1つの居場所がある大切さを感じた。家庭でも、学校や職場でもない第3の居場所。そこで生まれる緩やかなつながりが多くの人の心の支えになっている。