依然として続く令和の米騒動。政府による備蓄米の放出が始まった現在も米の価格高騰が続いている。その影響は日本酒にも広がっている。去年、ユネスコの無形文化遺産に登録された日本の伝統的酒造り。国内外で改めて日本酒に注目が集まっている。実は全国4位の出荷量を誇る埼玉県でも酒蔵が腕によりをかけてことしの新酒を造り上げた。ただ酒造りに使う酒米と食用米は軒並み価格が高騰。中には1.5倍を超える品種もあり今、多くの酒蔵が商品の値上げをするか判断を迫られている。越生町で180年続く酒蔵でも杜氏の佐藤麻里子さんが頭を悩ませていた。日本酒の原料の1つ、酒米。育てるのに手間がかかるため生産する農家は限られている。今、価格高騰に加えてこの酒米が手に入りにくくなっているという。食用米の需要が増えたことですでに去年、酒米の作付けをやめる農家が出始めた。この酒蔵でも埼玉県が開発した酒米の調達が難しくなりことしは一部の商品を前の年に購入し保管していた玄米を使って醸造した。今後、酒米の生産が減れば入手がさらに難しくなるうえその価格も高騰するのではないかと危機感を持っている。このまま令和の米騒動が続けば酒造業界が揺らぎかねない状況だと専門家も指摘している。今回、取材した越生町の酒蔵では今後、最も高いもので数百円程度の値上げを予定しているという。専門家は今後、食用米より手間がかかる酒米作りのノウハウを継承することで日本酒の原料を安定的に供給できる仕組みを作っていくことが必要だと指摘している。