有明海につながる長崎県の諫早湾の干拓事業を巡って堤防の排水門を開けるかどうかについて裁判で争われてきたが、去年3月、最高裁判所が開ける立場の漁業者側の上告を退け司法判断は開けない方向で事実上決着した。これを受けて農林水産省はのりや貝の不作が続く有明海の再生に向けて検討を進めてきた結果、来年度から「有明海再生加速化対策交付金」を創設すると決めた。来年度の当初予算案にはまず10億円を盛り込み、10年間で合わせて100億円を計上する方針。農林水産省はこの交付金を活用してのりやかきなどを安定して生産できるよう陸上養殖の導入を進めるなど、漁業の環境改善に向けた取り組みを支援したいとしている。江藤農林水産大臣は「有明海を再生する責任は国に大いにある。やはり再生しなければならない。海で暮らしている方々の生活が成り立つよう国の責務として果たすべきもの」と述べた。