一方、世界に目を転じると89の国と地域の人たちが主食にしているのは「小麦」。その価格は世界情勢や天候不順に左右され、大きく変動している。荒涼たる風景が続くアフリカの砂漠地帯に住む人達も、多くが小麦を主食にしている。その乾ききった大地に1人の日本人が乗り込んでいた。農学博士の辻本壽さん。専門は小麦の改良。国際機関の報告では、人口増加に歯止めが効かない。さらに近年の気候変動で、作物が育たずアフリカでは5人に1人が命に関わる栄養状態だという。辻本さんは生涯をかけ、過酷な暑さと乾燥に負けない小麦を生み出そうとしていた。今回アフリカの地に持ち込んだのは、人類の希望の種。「日本人が乾いた大地を緑に染める」そんな奇跡を、目撃することになる。