タマカイは主に熱帯の海域に生息し、成長すると体長2メートル、重さ180キロに達する世界最大級のハタ科の魚で、高級魚として取り引きされるため乱獲が進み現在、絶滅危惧種に指定されている。瀬戸内町にある近畿大学水産研究所の奄美実験場では、9年前からタマカイを飼育し研究を進めていたが、生息する熱帯の海域より水温が低いことから奄美大島での採卵は難しいとされてきた。しかし去年、いけすで育てていたメスのタマカイに繁殖の可能性が確認されたことから人工ふ化に向けて本格的に取り組み始め、ことし7月ホルモンを投与したメスの体内から卵を取り出し、人工授精させたところ約23万匹のふ化に成功した。実験場によると、人工ふ化させた稚魚の育成は難しいということだが、きょう時点で体長5センチから8センチほどの稚魚240匹ほどが生存しているという。タマカイの人工ふ化に成功したのは国内で2例目で実験場では完全養殖の技術の開発に向け、今後も取り組むことにしている。