ワシントン支局の小田島記者に聞く。FRBが利下げを決めてニューヨーク市場の株価も大きく値下がった。これはどういう反応なのだろうか。今回会合の参加者による金利の見通しが示され、来年利下げの回数は市場の予想よりは減るとの想定が示されたことがサプライズとなった。また、パウエル議長も記者会見では「利下げのプロセスは新たな段階に入った」と発言したり慎重を意味することばを多く使ったりしていたのが印象的だった。米国では、堅調な個人消費を背景に再びインフレ率が加速するリスクを警戒する声もあり、パウエル議長自身「ぎりぎりの利下げ決断だった」とあかし、こうしたことが株価に影響した。来年1月にはトランプ次期大統領の新政権が発足する。米国経済や金融政策にはどのような影響がありそうだろうか。インフレ率の上昇リスクがある中でトランプ氏が掲げる関税の引き上げなどの政策がインフレを加速させるリスクがある一方、エネルギー価格の低下、引き下げなどがインフレを抑え込むとの見方もある。記者会見でパウエル議長は関税の引き上げについて問われると実際の政策についてわれわれは全く分かっていない。結論を出すのは時期尚早だと述べ、明言を避けた。ただ、会合の参加者も来年の物価の見通しを前回9月と比べても明らかに引き上げていて、利下げにも消極的な姿勢を見せた形。これがトランプ氏の政策を見込んだものなのかは現時点では分からないが、FRBにとっては来年もインフレとの神経質な戦い続くことは確実でFRBの利下げの方向しだいでは円相場など金融市場にも影響が及ぶことが想定されそう。