都営地下鉄は大江戸線・浅草線・三田線・新宿線の4路線があり、これまでにホームドアの整備を進め、早いところで三田線で24年前に完了している。その後、大江戸線・新宿線でも完了しているが、浅草線は未完了。三田線・大江戸線・新宿線では車両側に設置された機器からホームドアに無線で通信して連携し開閉している。ただ、浅草線では京浜急行など4路線が乗り入れているため都営地下鉄だけの問題ではない。車両改修には一編成あたり数千万円の費用がかかり、都の負担だけで20億円ほどかかってしまう。さらに車両の種類によってはそもそも機器が設置できないものもある。担当者は当初、ホームドアにレーザーセンサーを付けて開閉を読み取る方法を挙げたが、確実性が不十分だった。続いて乗務員が手動操作する方法を提案したが、開け・閉め忘れやダイヤに影響が出る恐れがあるため却下。そこで担当者が目をつけたのは、工場で製品の在庫をバーコードの自動読み取りで管理するシステムだった。その結果、QRコードを使ったホームドアの開閉技術を開発した。車両のドア窓部分にQRコードのシールを貼り、車両数・ドア数などの情報を入れる。それを駅についている読み取り専用カメラで読み取り、情報を検知してホームドアを開閉させる。これにより当初20万円が想定されていた改修費用が約270万円と大幅削減することに成功した。QRコードは剥がれにくい材質のもので、汚れや直射日光の影響も考慮し、5割の読み取りでも機能するよう改良した。野村さんは「これからは私たちも体にQRコードを貼っていろいろな所に出入りできるようになるかもしれないですね」などとコメントした。