鹿児島県警の元生活安全部長が、個人情報を含む内部文書をライターに漏らしたとして逮捕された事件。元部長は、守秘義務違反の罪で起訴され、県警本部長は元部長が主張する不祥事の隠蔽を改めて否定した。きょう起訴された、鹿児島県警察本部生活安全部の元部長。先ほど保釈され、弁護士と共に警察署を後にした。警察官による県内のストーカー事案に関する内部文書をライターに郵送し、職務上知り得た秘密を漏らしたとして国家公務員法の守秘義務違反の罪に問われている。元部長の起訴を受け鹿児島県警は会見した。元部長が隠蔽が行われたと主張する事件が、去年12月に認知した盗撮事件。鹿児島県警の警察官がことし5月に逮捕されたが、警察の説明などによると元部長は3月の時点で、この盗撮事件の経緯を今回起訴されたストーカー事案に関する内部文書とともにライターに送っていた。元部長は盗撮事件の捜査について、当初野川本部長による隠蔽の指示があり、その後自身が文書を送ったことをきっかけに隠蔽から立件に方針を変えたと主張している。会見で野川本部長は隠蔽について改めて否定。また元部長の行為は組織の不正を通報する公益通報に当たるのではないかとの議論も起こった。公益通報かどうか専門家、淑徳大学・日野勝吾教授は判断のポイント「そもそもどういう指示があり内容がどの法律に違反しているかがポイント」と指摘する。本部長は「ライターに送付された資料には本部長が隠蔽を指示したとの記載はなく、公表を望んでいないストーカー事件の被害者の個人名や年齢が記載されており、文書の内容からみて公益通報にはあたらないものと考えている」と述べて公益通報には当たらないとの考えを示した。メディア側への強制捜査の是非も議論になっている。今回の事件発覚のきっかけとなったのが、別の漏えい事件の捜査だった。巡査長が内部文書などをネットメディアに漏らしたとして起訴され、関係先としてネットメディアを運営する代表の自宅が捜索を受けた。元生活安全部長の事件では文書を受け取ったライターが県警側から文書の提出を求められ拒否した。一連の捜査について、野川本部長は「取材の自由については理解をしている」とコメント。メディアと公権力の関係に詳しい専門家、立教大学・砂川浩慶教授は「メディアに対する強制捜査はあってはならないこと」とコメント。ライター・小笠原淳氏のコメント。不祥事が相次ぐ鹿児島県警。本田元部長が隠蔽を主張した警察官の盗撮事件は、発生当初から署員の犯行の可能性が野川本部長に報告されていた。しかし、本部長が捜査の指示を出したのはそのときの1度だけで、その後の確認などは行われていなかったことが明らかになった。警察庁は捜査の基本に欠けていたなどとして本部長を訓戒の処分にし、再発防止のため監察を実施するとしているが、元最高幹部が県警トップの隠蔽を主張するという異例の事態に県民の不信感は高まっている。捜査は適正に行われたのか、そして、そのメディア側への強制捜査の判断は妥当だったのか徹底的な検証が求められている。