午後3時半に始まった植田総裁の会見。利上げを見送ったことで円安ドル高が進み一時、1ドル=150円を付ける場面もあった。しかし、すぐに149円台前半に戻すなど、マーケットの反応は限定的だった。ただ、足元の物価上昇率は日銀が目標とする2%を大きく上回っている。米の価格も去年のおよそ2倍に。それでも植田総裁は「米や生鮮食品の価格上昇に直接影響する手段は持っていない」とコメント。米の値上がりを日銀が金融政策によって抑えることは難しいと指摘。それでも引き続き景気や物価が日銀の見通し通りに進んだ場合には利上げは続ける姿勢は強調、その理由が賃上げ。先週明らかになった今年の春闘の中間集計では賃上げ率は5.46%と去年を上回る水準。植田総裁も「やや強め」と認めた。ただ賃上げ以上に植田総裁が注視しているのがアメリカのトランプ大統領。トランプ氏は「日本が円安ドル高に誘導している」と批判。対抗措置として関税を引き上げることもちらつかせている。トランプ政権の関税政策が日銀の金融政策にどれほどの影響を与えるのか。野村アセットマネジメント・チーフエコノミスト・胡桃澤瑠美さん「関税引き上げ時に日本の企業収益にダメージが及ぶ可能性がある。そうなった時に2026年の春闘の賃上げ率が抑制されるリスクがあるだろう。このあたりが利上げを先送りする可能性がある」とコメント。一方でトランプ政権下で利上げのペースが早まる可能性も指摘。