プラスチックによる環境汚染を防ぐ初めての国際条約の政府間交渉では生産量の削減目標を盛り込むかどうかで対立が続いている。交渉委員会・パジャス議長が新たに示した条文の素案では世界的な削減目標を設け各国が生産量や目標達成のために行った対応を報告するという内容が選択肢の1つとして示された。関係者によると多くの国がこの素案の方向性を支持している一方、プラスチックの原料となる石油の産出国などは生産量の規制を条約に盛り込むことに反対する立場を変えていない。プラスチックによる環境汚染を防ぐ初めての国際条約の政府間交渉。このほかに課題となっているのがリサイクルの促進。日本では廃プラスチックのおよそ6割が焼却する際の熱エネルギーを発電などに用いる熱回収に利用されている。一方、温室効果ガスの排出を抑えるプラスチックの再利用、いわゆる「マテリアルリサイクル」は設備投資にコストがかかることなどから2割程度にとどまっている。国内の飲料や菓子の大手メーカーなど10社による企業連合はさらにリサイクルを進めるには国際的に統一した基準が必要だとして国に申し入れを行った。キリンホールディングス・藤川宏常務執行役員は「公正な競争ができる土台作りのための国際ルールは一定程度必要」とコメントした。条文の素案にはリサイクルや再利用が難しいプラスチック製品などを各国が削減したり禁止したりするといった対応や生産した企業などが廃棄やリサイクルの段階まで責任を持つ「拡大生産者責任」と呼ばれる考え方を取り入れることも盛り込まれている。予定される交渉の最終日があすに迫る中、意見の隔たりを埋めて合意に達することができるか交渉は大詰めを迎えている。