長崎市に原爆が投下された際、爆心地から半径12キロ以内にいながら国が定める地域外にいた人は被爆体験者とされ、被爆者と比べて国からの手当や、医療費の助成などに差が生じている。被爆体験者を巡っては先月9日の長崎原爆の日に、岸田総理大臣が合理的な解決策を検討する考えを示し、厚生労働省が地元の自治体と協議を続けてきた。その結果、被爆体験者への医療費の助成について条件を緩和し救済範囲を拡大する方針を固めたことが関係者の取材でわかった。被爆体験者は”原爆の放射線による直接的な身体への影響はない”とされ、被爆を体験したことによる、うつ病や不眠症など精神的な疾患があることが医療費の助成を受ける条件となっている。その条件を緩和し、精神的な疾患がなくても狭心症や心筋梗塞それに特定のがんなどを患っている人は、助成の対象とする方針だ。一方、被爆体験者を巡っては、今月9日、長崎地方裁判所が原告44人中15人を被爆者と認める判決を言い渡した。これについてはきょう、岸田総理大臣や武見厚生労働相それに長崎県の大石知事らが控訴するかどうか協議している。