能登半島の西部に位置し、元日の地震で震度7を観測した石川県・輪島市の門前町。シンボルの「総持寺祖院」は境内のお堂や回廊が倒壊。商店街の素朴な町並みも一転した。この町で復興を信じて立ち上がった1人の女性がいる。宮下杏里さんだ。中学校を卒業後に地元を離れ、高校時代から15年間を金沢市で過ごしたが高齢化が進む門前町に活気を取り戻したいと4年前に地元に戻った。総持寺通りの商店街など地元の魅力を発信しようと活動を続け、YouTubeでの配信や特産品を集めたマルシェの開催など町起こしに取り組んできた。震災後は避難所での炊き出し支援などで住民を支えてきたが、インフルエンザに感染し、金沢市に二次避難することに。金沢で生活していくことも一時は頭によぎったそうだが、被災した奥能登の人たちを忘れることはできなかった。これまで自称「おせっかいな観光案内人」として町起こしに取り組んできたが、震災後は商店街の人達に気安く頑張れとは言えなかった。ところが今、宮下さんの明るさに押され、前を向き始める住人が少しずつ増えている。今も元日の爪痕が色濃く残る被災地だが、住民たちは復興を信じ続ける1人の女性に背中を押され、再び一歩を歩みだそうとしている。宮下さんは「門前が好きでみんな残ってるから。離れた人も門前のことが好きだし、その人達が戻れる町にしたい。」と涙ながらに語った。
住所: 石川県輪島市門前町門前1994